水道水フロリデーション
水道水フロリデーション

米国での反応 専門機関が安全宣言

NPO法人日本むし歯予防フッ素推進会議会長・境 脩(福岡歯科大学名誉教授)

日本大学松戸歯学部教授・小林清吾

 著者フェイギン氏の主張は,フッ化物過剰摂取による斑状歯の発見から,フッ化物適正摂取の虫歯予防の利用につながった100年以上の歴史を追認したものであるが,「身体に必要な物質でもとり過ぎたら害になる」という単純な真理を示したものにすぎない。米国では,飲料水に含まれるフッ化物濃度が低い場合は添加調整し0.71.2ppmに維持する水道水フロリデーション(フッ化物濃度調整)が普及しており,約17000万人がその恩恵を受けている。フェイギン氏の主張は,過剰摂取による害に関するものだが,それがただちに適正摂取である水道水フロリデーションの批判につながるものではないことに留意する必要がある。

 フェイギン氏は水道水フロリデーションで用いるレベルのフッ化物濃度でも「骨の異常をはじめ脳や内分泌器官の障害が生じる可能性が示された」と主張している。これは学界の趨勢とは異なる。WHOをはじめ世界の保健専門機関は,骨折,がん,脳,内分泌器官などへの影響懸念から提起されてきたリスクと水道水フロリデーションとの関連性はみられないという見解で合意している。米国内では疾病対策センター(CDC)や米国歯科医師会(ADA)などが数十年にわたり,水道水フロリデーションの効果・安全性を確認してきている。フェイギン氏は医学・歯学の専門家ではなく,フッ化物に関する論文を査読制度のある学術雑誌に発表したことはない。

 フェイギン氏が論拠とした米国研究評議会(NRC)の報告は,飲料水として許容される天然由来のフッ化物濃度の上限値〔米環境保護局(EPA)による目標値〕を,現行の4ppmから2ppmへ引き下げるよう提案するもので,フッ化物濃度を0.71.2ppmに調整する水道水フロリデーションの是非を論じたものではない。詳細は以下のサイトで確認できる。

CDC(米国疾病予防管理センター)のNRC(米国研究評議会)に関するコメント

「CDC Statement on the 2006 National Research Council(NRC) Report on Fluoride in Drinking Water」

日本語訳はこちらをクリック

原文は以下をクリック

http://www.cdc.gov/fluoridation/safety/nrc_report.htm



CDC(米国疾病予防管理センター)の水道水フロリデーションに関する解説

http://www.cdc.gov/fluoridation/index.htm



ADA(米国歯科医師会)のNRC(米国研究評議会)に関するコメント

「NATIONAL RESEARCH COUNCIL ISSUES REPORT ON EPA STANDARDS FOR FLUORIDE IN DRINKING WATER」 

日本語訳はこちらをクリック

原文は以下をクリック
http://ada.org/prof/resources/topics/science_fluoride_water.asp



ADA(米国歯科医師会)の
フェイギン氏原文が掲載しれている
Scientific American
記事に関するコメント


http://www.ada.org/prof/resources/topics/science_fluoridation_sciam.asp


水道水フロリデーション

日経サイエンス2008年6月号
「フッ素のとり過ぎにご注意」の記事に関する解説